10. ブレーキモジュール回路


メルクリンの信号機はアナログ時代から実際に赤信号で停車することが特徴であり、自動運転をおこなう上で重要な要素の一つです。しかし、古典的な停止区間に機関車が進入すると、突然、電源オフの状態になるため、急停車するとともに、ライトやサウンドなどもぱったりと止まってしまいます。きれいなライティングやリアルな走行音などを出しながら走っているだけに、逆にこのような急停車は興をそぐきらいがあります。

 ブレーキモジュールを使えば、ブレーキ区間では減速遅延の設定値に応じてゆっくりと停止します。ブレーキ区間内で停止すれば、ライトやサウンドもそのままなので、あたかも駅に停車するようなリアルさを自動運転でも演出することができます。

 ブレーキモジュール区間では負の直流をB線(中央レール)に流します。機関車のデコーダがこれを検知すると、徐々に減速するブレーキモードに入ります。今回、用いるブレーキモジュールは高速ショットキーバリアダイオードで半波整流した後、抵抗を直列に入れたコンデンサにより部分的に平滑化することで直流成分を得ています。このブレーキモジュールはmarklin-users.netでの議論の中で、Martin氏により開発されたもので、きわめて簡単、安価な回路な上、遷移区間が必要ないなど、優れたものです。

以下に回路図を示します。


ブレーキモジュール

 一般的なブレーキモジュールに必ず存在する遷移区間は、この簡易型ブレーキモジュールにはありません。しかし、このモジュールでは回路的にも集電シューによるショートは生じません。実際に、このブレーキモジュールを約1年間にわたって使用してきましたが、トラブルは発生していません。

 ただし、Deltaデコーダ、スモークジェネレータの使用、豆球式の車内灯を備えた客車の牽引などの条件下でブレーキが効かないという報告があり、それらはおおむね私も確認しています。この回路はパッシブな回路であり、ブレーキ区間のDC成分を保っているのはコンデンサです。これを放電してしまう要素が入るとブレーキが効かなくなります。純正品のブレーキモジュールでは、もっとしっかりとしたDC電源をつかっているので(たぶん)、これらの要素が入ってもブレーキは効くと考えられますが、ブレーキ区間と一般区間の間には遷移区間が必須となります。遷移区間を設ける手間を考えると、一部の機関車ではブレーキが効かないとしても、停止区間では必ず停まるこの簡易型ブレーキモジュールは、かなり使えるアイテムだと思います。


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